アサギマダラは、春と秋に、海を渡る1,000~2,000kmもの旅をすることが知られています。
アサギマダラの生態や移動経路については、まだ解明されていないことが多く、羽に場所や日付などを記録するマーキングによる調査が行われています。過去には姫島から飛び立ったアサギマダラが、春は北海道まで、秋は台湾まで移動した記録もあります。
姫島はアサギマダラの旅のルートの途中にあり、5月から6月頃、南の地から飛来し、姫島北部の「みつけ海岸」で、スナビキソウに集まり休息した後、涼しい北の地に向かって飛び立ちます。秋は10月から11月頃、世代を交代したチョウが北の地から飛来し、姫島中央の山間部のフジバカマの花に集まり休息した後、暖かい南の地へ飛び立ちます。
砂浜などの海岸線に生育する「スナビキソウ」は、北海道~九州北部の、日本海沿岸を中心に分布する植物で、九州南部以南にはほとんど分布しないことから、姫島のスナビキソウ群落は、春に北上途中のアサギマダラにとって重要な中継地点となっています。花や枯れた茎など、アサギマダラの好む物質が含まれる部分に、アサギマダラが集まる様子が見られます。
スナビキソウの種子は水に浮き、海の流れに乗って運ばれて分布を広げ、地下茎で周辺に生息範囲を広げていきます。姫島のスナビキソウは、瀬戸内海の潮流に運ばれて「みつけ海岸」にたどり着き、自生したものを守り、管理しています。