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ジオパーク :調査研究助成

令和6年度おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成採択課題

令和6年度おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成に応募のあった以下の研究課題について、採択を決定しましたのでお知らせします。

No研究課題名申請者
1おおいた姫島ジオパークにおけるユニバーサルツーリズム推進の可能性の検討波名城 翔
(国立大学法人琉球大学人文社会学部)
2姫島に分布する地質遺産の三次元点群データベースの構築と利活用に関する研究池見 洋明
(日本文理大学工学部)
3姫島火山群の溶岩のカリウム‐アルゴン年代測定宮﨑 亜依
(福岡大学理学部)
4近現代における姫島の地理学的研究~戦史研究の視点から松島 文子
(豊州戦史研究会)
5“火山が生み出した神秘の島”姫島におけるインバウンド誘致の可能性寺田 謙太朗
(立命館アジア太平洋大学)
6姫島島内地下水の溶存CO2分布調査山田 誠
(龍谷大学経済学部)
7おおいた姫島ジオパークにおける持続可能な観光映像の研究松原 かおり
(日本文理大学工学部情報メディア学科)

 

 

 

令和6年度おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成募集

おおいた姫島ジオパーク内を対象とした調査・研究活動を支援するため、経費の助成を行いますので、ぜひお申込みください。

助成対象研究

おおいた姫島ジオパーク内を対象とする、あらゆる人文、社会、自然科学研究。

助成対象者

研究代表者、共同研究者とも研究に従事している方。大学院生、研究生、研究員、小・中・高等学校、高等専門学校、大学の教員、博物館学芸員等。

助成金の額、助成対象等

(1)助成件数  3件

(2)助成金の額

1 件あたり10万円を上限とします。

(3)助成対象経費

研究に直接必要な経費
 経費を使用できる者は研究代表者および共同研究者とします。ただし、以下に記載した費用は対象外とします。

・人件費(雇用関係が生じるもの。謝金は可)
・研究者として自己負担或いは機関等が通常備えるのが適当と思われる什器、助成による研究目的以外にも広く利用可能な汎用的な機器、ソフトウェア、消耗品、および備品
・学会やシンポジウム等に参加するための旅費や会費
・一般管理費に相当する経費

助成対象とならない研究
・ほかの機関からの委託研究

応募の方法

次の書類をおおいた姫島ジオパーク推進協議会へ送付。

令和6年度 おおいた姫島ジオパ―ク調査研究活動助成申請書(様式第1号) 1部

応募締切

令和6年5月31日(金)必着

審査

おおいた姫島ジオパーク推進協議会で選考を行い、審査に基づき助成金交付を決定、6月末までに結果を送付します。

助成金の支払い、執行・管理

大学・博物館等機関に所属する研究者(大学生・大学院生を含む)は、個人経理は行わず機関経理としてください。機関からの奨学寄附金振り込み書等を受け取ったのち、ただちに助成金を支払います。

助成金の執行にあたっては、他の経理と区分した帳簿を備えて収入額および支出額を記載するとともに、証拠書類を整理・保管して、助成金の使途を明らかにしてください。

機関に所属しない研究者にあっては、銀行等の金融機関に専用の口座を開設(申請者と同一名義)し、一括管理して下さい。

助成研究完了報告

令和7年3月7日(金)までに次の様式の報告を提出してください。

令和6年度 おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成成果報告書(様式第2号)

令和6年度 おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成経理報告書(様式第3号)

経理報告書には機関発行の帳票(支払日、購入先、金額などが記されている一覧表または明細に、証拠書類(実物)および旅行完了報告書(写しで可))を添付し提出して下さい。

その他

① 助成金の交付に関する詳細は、「おおいた姫島ジオパーク調査研究助成金要綱」によります。
② 助成事業採択後、採択者の氏名、所属、研究テーマ等を姫島村のホームページで公開します。
③ 令和7年3月以降おおいた姫島ジオパーク推進協議会が実施する発表会等で成果を発表または研究の概要をまとめたポスターを提出していただきます。
④ 研究成果報告書を姫島村のホームページで公開します。
⑤ 研究成果を刊行する場合は、本研究助成による成果である旨を明記して下さい。

様式等(以下よりダウンロードできます)

令和6年度 おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成 募集要領

令和6年度 おおいた姫島ジオパ―ク調査研究活動助成申請書(様式第1号)

令和6年度 おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成成果報告書(様式第2号)

令和6年度 おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成経理報告書(様式第3号)

令和6年度 おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成 廃止届(様式第4号)

おおいた姫島ジオパーク調査研究助成要綱

 

申込先・問い合わせ先

おおいた姫島ジオパーク推進協議会(姫島村役場企画振興課内)
〒872-1501 大分県東国東郡姫島村1630-1
電話:(0978)87-2282
メール:gpk@himeshima.jp (入力時に@を半角の@に変えてください)

 

令和5年度おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成 研究成果

おおいた姫島ジオパークのワ―ケーション推進に関する研究

城本 高輝(長崎国際大学人間社会学部国際観光学科)

姫島へのUIJターンによる移住者は、 自分自身や家族が良く生きていくことが、 移住のきっかけになっている。 移住後に、 島外の方のワーケーションやエコカーなどをとおして、自律的に地域課題解決に関わることができていることが、 地域への定着の大きな要因となっている。 また、地域に定着後、 移住者が自律的に関係案内人となり、地域住民と協働で、おおいた姫島ジオパークの観光やまちづくりに深く関与しながら、自然体で何気無いコミュニケーションを行うことで関係人口創出に大きく貢献していることを参与観察などで確認した。 つまり、 おおいた姫島ジオパークでは、住民そのものが、ワーケーションや関係人口創出の重要な地域資源となっている。

 

ジオサイトの維持管理支援のための三次元点群データベース構築に関する研究

池見 洋明・朝倉 健太(日本文理大学工学部)

この研究は、島内外問わず多くの人が容易にアクセスでき、教育材料としても活用が期待できる媒体として、姫島の地質遺産の3次元点群データベース化を検討することを目的とし、次の3つのことを実施しました。
(1) おおいた姫島ジオパークの情報収集とジオサイトの選定
(2) ジオサイト・地質遺産の三次元計測
(3) 三次元データの保存・表示方法の検討
これまでに収集した情報、ヒアリング、現地調査から、ジオサイト「大海のコンボリュートラミナ」を選定し、レーザー計測と3次元データの表示・共有方法の検討を行いました。課題もありましたが、その成果の一部はsketchfab(https://skfb.ly/oRMDt)で公開しています。今後も計測箇所を追加し、データを蓄積する予定です。

 

近現代における姫島の地理学的研究~戦史研究の視点から

松島 文子・野﨑 哲司・亀田 雅弘(豊州戦史研究会)・織田 祐輔・藤原 耕(豊の国宇佐市塾)

姫島を 「戦史」という切り口でとらえてみた。 今回の調査研究で周防灘、 瀬戸内海へと視野を広げてみると姫島を”俯瞰” することができ、 教科書にも 『姫島村史』 にも載っていない新たな史実が明らかになった。
姫島灯台は軍の要請で建設され、太平洋戦争中は敵艦、 敵機の監視任務も担っていた。 昭和18年には灯台近くに陸軍監視哨が設置されていたが空襲で焼失、太平洋戦争末期には灯台そのものも米軍機による攻撃を受け、 灯台の壁には剥離痕が今も残る。
昭和20年3月末にB-29が瀬戸内海西部、 周防灘海域に各種機雷を投下。 姫島周辺は機雷の海となった。 姫島周辺で少なくとも8隻の船舶が触雷して沈没した。さらに、姫島沖に米軍機が不時着したことにより、周辺を航行中の艦船が米軍機の攻撃を受けた。 終戦の年には特攻兵器 「回天」 を山口県の沿岸部から大分県日出町の「大神基地」に輸送する作戦があったが、姫島近くで輸送船が座礁した事例も明らかになった。 本土決戦の前の切迫した海の世界が垣間見えた。
詳細は当研究会の発行する書籍 『姫島戦史紀行』 をご覧ください(県立図書館、自治体図書館等に寄贈予定)。

 

姫島周辺のCO2噴出海域における生物化学調査

藤井 賢彦(東京大学大気海洋研究所)・山田 誠(龍谷大学経済学部)

姫島周辺の海は、海底からCO2が噴出している、世界的にも珍しい浅海域である。本研究では西浦地先のCO2噴出域と非噴出域で海洋環境の連続観測を行った。その結果、海底から噴出されたCO2が周辺の海洋環境に影響を及ぼす範囲は概ね半径10m以内であること、そしてその影響の多寡は潮汐と強く関係していることが初めて明らかとなった。 CO2噴出域は今後、人類社会がCO2排出量の大幅な削減に取り組まない限り生じる、 将来の海洋環境を先取りしていると考えられる。 そのため、噴出域における生物化学過程を詳細に調べることで、 海洋酸性化が海洋生態系に及ぼす影響を評価・予測する上で重要な知見を得られると期待される。さらに、これらのCO2噴出城は学術研究の対象としてだけでなく、ジオパークの観点からもスタディツアーやエコツーリズムのフィールド、ローカルアイデンティティの再構築の題材としても活用できると期待される。

 

姫島ジオパークを渡りの中継地とするアサギマダラの秘密2~旅する蝶VS定着した鳥類と個体数変動による土地利用の選考性~

天野 孝保・Praeploy Kongsurakan(長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科)

姫島におけるアサギマダラの飛来と環境要因の関係について、 一般化線形モデル (GLM) を適用し、 調査地域の本種の数に影響する要因を評価した。その結果、本種の飛来は、朝と比較して正午に多い傾向にあり、 気温と風速の両方が本種の飛来数に有意性を示した。 本種と気温の関連には正の相関が示され、 気温が高いほど個体数が増加する。 風速が低い時 (<4m/s) に多く存在する傾向があったが、 風速の係数が有意でないことから本種への個体数増減の影響は限定的であると推測された。 今回の結果では、中継地における本種の複雑な動態に関する貴重な結果が示され、環境要因と観察された本種の関係性を定量化した。これらの知見は前回の報告をさらに発展させ、 気象条件や特に気温と風速が本種の分布と個体数を大きく形成していることが明らかになった。

 

令和4年度おおいた姫島ジオパーク調査研究助成 研究成果

おおいた姫島ジオパークにおける暑さマップの作成

北 徹朗(武蔵野美術大学造形構想学部)

本研究では、 姫島の各ポイントにおける暑さ (蓄熱) および身体負荷データに基づき、暑熱環境下での休息環境整備の提言を行うことを目的とした。そして、それらをマッピングし、おおいた姫島ジオパークを快適・安全に楽しむための基礎資料を収集することを最終着地目標とした。
調査の結果、島内で特に高温環境になる場所は「フェリーターミナルとその周辺」(南浜公園など)や「姫島灯台」などであった。また、姫島観光において最も身体負荷が高いポイントは「千人堂・観音崎」だった。
島内には、飲料の自販機が全22台設置されていることを確認したが、設置場所に偏りがあるため、水分補給可能場所を示す「自販機マップ」をガイドマップに加筆することも提案したい。

 

姫島の更新統における淡水生珪藻化石の産出状況調査

納谷 友規(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)

姫島には、およそ200万年前~20万年前に形成された地層(地質時代との関係から更新統と呼ばれる) が分布する。これらの更新統は古いほうから、丸石鼻層、川尻礫層、唐戸層、姫島火山群に区分される。これらのうち、唐戸層は海成層を含むが、それ以外は陸域で形成された淡水成層と考えられている。本研究では、姫島に分布する更新統における淡水生珪藻化石の産出状況を明らかにすることを目的として、丸石鼻層、唐戸層、姫島火山群の大海層、迫火砕岩、城山火口湖堆積物、浮洲火砕丘 (?: この試料の帰属は不明) の地質調査を行い、珪藻化石分析用試料を採取した。予察的検鏡の結果、試料を採取したすべての地層から淡水生珪藻化石の産出が認められた。淡水生珪藻化石は浮遊性種 (プランクトン) を主体とすることが明らかになった。今後は、珪藻化石の分類学的検討を行い種構成の違いを明らかにするとともに、更新統の層序を再検討することで、群集変化が生じた時代を明らかにする予定である。

 

姫島周辺のCO2 湧出海域における海洋酸性化指標の空間分布把握

藤井 賢彦(北海道大学大学院地球環境科学研究院)・山田 誠(龍谷大学経済学部)

姫島沿岸の海底から気体が湧出していることは地元では昔から知られており、その主な気体成分はCO2であることが大沢・三島 (2017)によって明らかにされた。CO2湧出海域は今後、人間社会がCO2排出の大幅削減に取り組まない場合に懸念される海洋環境の変化を先取りしていると考えられる。そのため、姫島のCO2湧出海域を調査することは学術的にも社会的にも意義があると考え、灯台沖と西浦の2海域で海洋調査を実施した。その結果、CO2湧出海域では海洋酸性化の指標であるpHが、今後、人為起源CO2の排出を大幅に削減しないと今世紀末までに到達すると予測される水準まで低下していることがわかった。姫島沿岸のCO2湧出海域は比較的アクセスしやすい浅海域にあり、今後は学術研究の対象としてだけでなく、ジオパークの観点からも興味深い見どころとして位置づけられると考えられる。

 

姫島火山群のマグマ進化過程と大陸地殻の進化過程の地球化学的検討

平山 剛大・柴田 知之・芳川 雅子(広島大学大学院先進理工系科学研究科)

姫島火山群では、ザクロ石を含む流紋岩とザクロ石を含まないデイサイトから流紋岩が確認されている。本研究では姫島火山群の溶岩のSr-Nd-Pb同位体比組成の分析と主要元素組成・微量元素組成とSr-Nd-Pb同位体比組成を組み合わせたマグマ進化過程についてのモデル計算を行った。ザクロ石を含まないデイサイトから流紋岩は、幅広い206Pb/204Pb比と一定の87Sr/86Sr比を持ち、ザクロ石を含む流紋岩とは異なる地球化学的傾向を持つことが明らかになった。また、この起源については沈み込んだフィリピン海プレートの部分溶融によって生成され(アダカイト)、その後分別結晶作用によって形成されたと考えられる。ザクロ石を含む流紋岩は、87Sr/86Sr比が0.7048程度と比較的高い値を持ち、モデル計算からアダカイトと地殻物質の混合によって形成された可能性が指摘できる。

 

姫島ジオパークに飛来するアサギマダラの渡り~旅する蝶と定着した鳥類との関係

天野 孝保・Praeploy Kongsurakan(長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科博士課程)

アサギマダラの個体数は、天候によって観察されたアサギマダラの数が大きく変化する。調査期間中の晴天日は平均観察数が最も多く、一部曇りや雨の日には、観察数が減少した。その後、天候が回復した2日間では観察されたアサギマダラの個体数が増加した。これらの結果は、温度、湿度、日照などの気象条件が蝶の個体群の分布や生息数に大きな影響を与えることを示した先行研究とも一致している。アサギマダラの観察数に影響を与える重要な要因として、時間帯が挙げられる。平均観察数が最も多かったのは晴天時の午前10時~12時で、最も少なかったのは雨天時の午前7時~8時である。アサギマダラは特定の時間帯に活発に活動する可能性があり、観察のタイミングが記録された蝶の数に影響を与える可能性があることが示唆された。
本研究は、アサギマダラの個体数と分布に影響を与える要因について貴重な知見を提供し、蝶の個体数を調査する際に天候と時間帯を考慮することの重要性を明らかにしていきたい。今後の展望として、アサギマダラとその捕食者の関係性についても研究を重ねていくことで、持続的な観光資源としての評価や保全について理解を深めていきたいと考えている。

令和3年度おおいた姫島ジオパーク調査研究助成 研究成果

おおいた姫島ジオパークのユニバーサルデザイン化の推進に関する調査研究

山口 弘幸(鎮西学院大学)

本研究では、おおいた姫島ジオパークのユニバーサルデザイン化の推進を目的に、ユニバーサルデザインの観点から各拠点施設の点検及びユニバーサルデザイン・ジオツアーの企画開発の検討を行った。拠点施設及び周辺ルートの多目的トイレ等の調査を行う中で、宿泊先や食事処等で配慮や開拓を要する点もあるが、適切な情報提供と無理のないバリアフリー状況の改善、介助者の手配を行えば、概ねコース設定が可能であることが考察された。今後の発展課題として、ソフト面・ハード面の両面を捉えた可能な限りでのバリアフリー環境の改善検討、バリアフリーツアーセンターとの連携強化、姫島らしいユニバーサルなジオ体験プログラムの創出の推進が重要である。

 

姫島盆踊における観光・文化財化の影響と解釈―”アバレボー”の変容を事例に―

羽田野 京(筑波大学大学院人文社会科学研究科)

本研究の目的は、姫島盆踊において、即興性に一人もしくは数人で滑稽な恰好で踊り場を巡り、観客を笑わせる行為者アバレボーに注目し、芸能の変容と解釈について明らかにするものである。
アバレボーは、行為者の日常を知る観客が、滑稽な仕草や恰好をみせる行為者との関係性の中で意外性を捉えるものである。そのため外部からの観客である観光客が増加した影響や、観光として見せるものでなければならないといった意識などにより現れなくなったと考えられてきた。
しかしアバレボーの条件や前提、芸能の場における役割を整理し、姫島盆踊全体が文化財指定や観光資源を受けつつ、どのように変容をとげていったのかを捉えると、アバレボーに期待されていた役割は、現在の盆踊りにおいて、アバレボー以外の形で継承されていることがうかがえる。

 

姫島に分布する更新統唐戸層の珪藻化石群集変遷の解明

納谷 友規(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)

姫島に分布する更新統唐戸層には複数層の浅海成層が挟まることが知られ、また珪藻化石が豊富に産出する。これまでに唐戸層に挟まる海成層からは新種の珪藻化石が見つかるなど、唐戸層は更新世の沿岸珪藻群集変遷を明らかにする上で重要な地層であることが分かりつつある。唐戸層の年代は、テフラの対比などから前期更新世後半~中期更新世前半にまたがると考えられているが、挟まる海成層の枚数やそれぞれの海成層の詳しい年代についてはよく分かっていない。
本研究では、唐戸層の層序と年代を明らかにすることを目的として野外地質調査を行った。調査は島内5地点で露頭観察を行い、層相に基づいて柱状図を作成した。同時に珪藻化石分析用の試料も採取した。今回観察した地点では、みつけ海岸~丸石鼻の間の海岸で最も連続的に地層を追跡することができた。層相と珪藻化石の予察的検討結果から、みつけ海岸~丸石鼻の間の海岸では、唐戸層とその下位の川尻礫層の中に、少なくとも4層の海成層が挟まる可能性が明らかになった。他の地点においても海成層が検出されたがその数は少ないため、観察された地層の範囲が断片的だったと考えられる。今後は、各地点の海成層同士の対比と年代の推定が課題として残される。さらに、珪藻化石群集を明らかにして、時代ごとの珪藻群集の変遷を明らかにする予定である。

 

島嶼部の持続可能な観光地経営の研究
―おおいた姫島ジオパークの自然観光資源と海辺の観光地経営について―

七枝 敏洋(比治山大学短期大学部総合生活デザイン学科)

姫島は、約30万年前の火山活動により4つの小島が誕生し、砂州でつながった一島一村の島である。火山が生み出した神秘の島・姫島は、海域を含む東西14km、南北6kmが2013年に日本ジオパークに認定されている。
姫島には、全長500mの美しい姫島海水浴場がある。元来の砂地を整備したもので、花崗岩質の砂と海の青さと夕日のコントラストが美しい海岸である。シャワー室、休憩所等があり、指定された場所ではバーベキューもできる。
「時と自然の希跡ジオパーク天一根(あまのひとつね)」は、自然、歴史、文化、産業、生態系を展示していて、エコツアーの入り口として相応しい。姫島では、魚付林、塩田から車えび養殖への転換、資源管理型漁業”期節定め”など、島民の生活の知恵を多く見つけることができる。姫島盆踊りなどの祭り、空き缶デポジット制度、光ファイバー網の整備等は離島が抱える課題解決への取り組みの結果であり、これらの足跡は島の文化資源と言える。

 

おおいた姫島ジオパークの教育普及における地質露頭のハギトリ標本の活用

中西 利典(ふじのくに地球環境史ミュージアム学芸課)・堀川 義之(西日本技術開発)

おおいた姫島ジオパークの見どころである第四系(丸石鼻層、川尻礫層、唐戸層)や30万年前以降の火山岩、後氷期の砂州などの沖積層などの地質露頭および地形を観察した。これらの露頭状況およびジオパーク事務局員と相談した結果、唐戸層の海岸浸食が顕著な露頭においてクロスラミナが顕著な層準および城山火山の火口湖堆積物の細互層が顕著な部分を選定・整形してハギトリ標本を採取・作製した。前者は、ほぼ水平に形成された浅海成の地層が、ほぼ直立して海岸付近に露出しており、姫島の基盤を構成した火山活動に伴った地殻変動の激しさを知ることができる。 一方、後者の火口湖堆積物の形成年代を検討するために、火山灰分析試料を採取した。